カケス(橿鳥、懸巣、鵥、学名:Garrulus glandarius)は、鳥綱スズメ目カラス科カケス属に分類される鳥。学名はラテン語で Garrulus が「おしゃべり」、 glandarius は「ドングリ(の好きな)」を意味する。

分布

アフリカ大陸北部、ユーラシア大陸の中部から南部にかけて分布。日本では九州以北で繁殖する留鳥で、北部に生息するものは冬季に南に移動する。年により移動する個体数には変動があり、これは餌とする木の実の量に依存するものと考えられる(量が少ないときには、餌を求めて移動する)。

形態

全長約33cm。成鳥は額から頭のてっぺんまでが白と黒のまだら模様で喉、腹は白色、目の周りや尾羽は黒く後頭部、背面、胸部等は葡萄褐色。羽の色が美しく特に基部は黒、白、青がだんだら模様を作っている。くちばしは鉛色で先が黒い。雌雄同色である。

生態

日本においては屋久島以北の平地、山地の森林に生息する。繁殖期は縄張りを形成する。

食性は雑食で昆虫類が主食だが果実、種子等も食べる。他の小鳥のひなを食べることもある。また信州・美濃地方では「カシドリ」の異名もありカシ、ナラ、クリの実を地面や樹皮の間等の一定の場所に蓄える習性がある。冬は木の実が主食となり、蓄えたそれらの実を食べて冬を越す。しかし貯蓄場所に戻らないこともあり、それが森の再生に重要な役割を果たしている。

繁殖形態は卵生。マツ、スギなどの樹の上3-10mのところに木の枝を使って皿状の巣を作る。1腹5-6個の卵を産む。抱卵期間は16-17日で、雌雄協同で抱卵する。雛は17-20日で巣立ちする。

蟻浴を行うことがある。

「ジェー、ジェー」としわがれた声で鳴く。英語名の『Jay』はこの鳴き声に由来する。また他の鳥の鳴き声や物音を真似するのが巧く、林業のチェーンソーや枝打ち、木を倒す時の作業音を「ジェージェー」の間奏を入れつつ再現することもある。飼い鳥として人に慣れたものは人語の真似までする。

亜種

約30亜種に分類される。

  • Garrulus glandarius brandtii ミヤマカケス
  • Garrulus glandarius japonicus カケス

など。

意匠

1998年(平成10年)2月23日発売され、2014年(平成26年)3月31日まで販売された160円普通切手の意匠になった。

脚注

参考文献

  • 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥III』、平凡社、1986年、162頁。
  • 柴田佳秀 著、樋口広芳 編『街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑』日本文芸社、2019年5月、168頁。ISBN 978-4537216851。 
  • バードライフ・インターナショナル総監修 山岸哲日本語版総監修 『世界鳥類大図鑑』 ネコ・パブリッシング、2009年、391頁。ISBN 978-4-7770-5242-4
  • 上田恵介監修 『鳥類図鑑』 東京書籍、2006年、166頁。ISBN 4-487-80128-1

関連項目

  • 日本の野鳥一覧
  • Scrub jay

外部リンク

  • BirdLife International 2004. Garrulus glandarius. In: IUCN 2006. 2006 IUCN Red List of Threatened Species.

カケス (2019.12.09) 日本の野鳥識別図鑑

カケス(2019.04.22) 日本の野鳥識別図鑑

カケスですか 日本の野鳥識別図鑑

【カケス】野鳥図鑑・アルバム

カケス(2022.12.14) 日本の野鳥識別図鑑